はじめに

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【小説更新履歴】
 ●2017/11/19 「未来への追憶」 第五話 - 05 up


『未来への追憶』 目次
当ブログのメイン創作で、主人公が未来へタイムスリップしてしまうオリジナル長編SF。

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「未来への追憶」の本編やキャラクターに関する雑記を載せているブログです。生存報告用にも。
※ネタバレはありません。

未来への追憶 第五話 - 05

* * *


 レイは一度拠点の自分の部屋に戻って私服に着替えると、SGAの本部を経由して外へ出た。本部のだだっ広いエントランスの先にある自動ドアを抜けたとき、ちょうどエントランスの脇にある地下駐車場の入り口から数台の車が滑り出てきた。黒い車の列はレイの横を通り過ぎて左折し、前方の大通りを走る車の流れに合流する。確か、あれは現在調査部が使用している車種だな、などと考えながら、レイは本部の建物前のロータリーを横切った。
 歩きながら、行く手に高くそびえるビル郡のさらに上空を見上げる。青く澄み切った空には小さな雲がいくつか浮かんでいるだけだった。
 別段はっきりとした予定があったわけではないが、レイはまず、現在の事件を担当する前に暮らしていた家へ足を向けた。以前に健二を連れて訪れたナイトクラブ『ラ・スパツィオ』もその建物内に持つ複合施設だ。その中にある集合住宅の一室で、レイの部屋は賃貸借契約を結んで借りているものだったが、SGAからは家賃の七割に相当する住宅手当を支給されているため、ほとんど使っていない今でも契約は継続している。以前住んでいた家を残しておくことで、阿久津賢士に現在の居場所を特定されにくくするという目的もあった。
 何基ものエレベーターが並ぶホールに到着すると、居住エリア用のエレベーターが下りてくるのを待ってから、まっすぐに自分の部屋がある二十二階へ向かう。このフロアは単身者用の部屋しか無いため、昼間のこの時間帯は皆仕事に出かけているのか、絨毯の敷かれた共用廊下は静まり返っていて、人の気配は無かった。
 生体認証でドアのロックを解除する。部屋の中に入ると、途端にむっとこもった空気に全身を覆われて息苦しくなり、レイは顔をしかめた。おまけに、天気が良く気温も高いせいで、室内はかなり暑くなっている。
 窓を開けて久しぶりの換気をし、長く活躍の機会を与えられていなかった清掃ロボットを稼動させて、部屋の掃除に取り掛かった。掃除といっても、床の塵を取ったり窓を拭いたりするのはロボットの役目で、レイの仕事はいらなくなった物を整理して処分したりするのが主だ。さして広くもない1DKの部屋なので、キッチンやバスルームを含めても、掃除は一時間ほどで終わった。
 次にどうするか考えるためにも、コーヒーを入れて休憩していくことにする。ちょっと部屋の外に出れば、エレベーターで十階ほど上下に移動するだけで、ほっと一息つけそうなカフェなどいくらでも見つかる。だが、内装に凝った洒落た店に人で入り、ゆっくりと茶を楽しむことに興味が持てないレイにとっては、自分で入れたインスタントコーヒーで簡単にのどを潤し、カフェインで頭をすっきりさせるだけで充分だった。
 窓辺に置いたベッドに腰を下ろし、二十二階からの眺め――とはいえ、周囲にひしめく高層ビル群のせいでたいした眺めでもないのだが、拠点の窓から見る景色とはまた違った魅力はある――を楽しむ。次いで、積もった埃が除かれたことと換気の効果で、爽やかな空気に満たされている気のする部屋を見回してみた。
 わずか一年ほど前までは最もくつろげる場所であったはずの自分の部屋も、SGAの拠点で過ごす日々が続く今ではどこかよそよそしく、馴染みの薄い場所にさえ感じる。
 阿久津賢士の事件を担当するようになって以来、ここにいるとどうしても昔を思い出すせいか、つい寂寥感に襲われそうになるのが常だった。職場や外で誰かと一緒にいるときはそんなことはないのに、今もこうしていると、日差しの足りない部屋の隅から滲み出た哀愁がひたひたと侵食してくるようで、感傷的な気分に陥りそうになる。浮上しかけたそんな気持ちごと飲み下すように、レイは残ったコーヒーを一気にのどに流し込んだ。
 マグカップを片付けると、夏物の衣類など、必要なものを何点か鞄に詰めて再び街に出かけた。目的も無く、通りをぶらぶらと歩く。平日だが、やはり街の中心部は人が多い。洋服やジュエリーのブランド店、飲食店など様々な店が並ぶ歩道は、友達同士おしゃべりをしながら、時折楽しそうな笑い声を立てて歩く若者、ウインドウショッピングをする人々、そして彼らに付き従うロボットなどで溢れていた。レイも左右で賑わう華やかな店舗に何気なく目をやりながら、ゆったりとした足取りで通りを進んだ。
 思えばこのところ、仕事が忙しくてちゃんとした休日らしい休日はあまり取れていなかったし、オフのときも健二がいることから、結局はほとんど拠点にいることが多く、こんな風に一人で時間を過ごしたのは久しぶりだった。
 昔ながらのアーケード商店街の入り口がある辺りに差し掛かったとき、ふと前方の小さな店が目に留まった。ショッピングモールや、家庭用ロボットの量販店――派手な看板とBGMで通行人の関心を引いている――に気を取られていれば見落としてしまいそうな、実に小ぢんまりとした店だ。客席と呼べるようなスペースは無いに等しい狭い店内には人間の店員が一人立っていて、機械ではなく、人の手で作ったクレープを販売している珍しい店だった。
 それを認識するや、不意に記憶のふたが開き、かつての光景が押し寄せるかのような勢いでレイのまぶたの裏によみがえってきた。
 あれは、歩道沿いの桜並木が街を薄紅色に彩っていた春だった。今日と同じようにこの道を歩いていたとき、レイは着ていたトレーナーの袖を軽く引っ張られて足を止めたのだった。

「レイ」

 ふわふわとした綿雲のような、柔らかい響きの声に名を呼ばれて振り返ると、そこにはシンディー・オルコットのはにかんだような笑顔があった。そのときの彼女が、ライムグリーンのカットソーに白のロングスカートという服装だったことまでよく覚えている。淡い色合いに、自然にウェーブがかった長い赤毛がよく映えていた。

「あれ、食べたい」

 言いながら、彼女は通り過ぎたばかりの背後の店の一つを指差していた。それが、今、レイの目の前にある小さなクレープ屋だった。

「クレープ。食べたい」シンディーは幼子を思わせもする、たどたどしい調子で繰り返した。「一緒に食べよう」

 そのとき、シンディーとは反対側――レイの右隣にいたのが日向虎太郎だった。彼も少し遅れて立ち止まると、レイと同じくシンディーの指先が示す方向を目で辿った。
 記憶の映像は徐々に鮮明になり、今やレイの脳裏にありありと浮かんでいる。

「むう、甘味か……」

 ハーフリムの眼鏡をかけていた虎太郎が、もともと細い目をさらに細め、妙に芝居じみた口調で唸る様子もはっきりと思い出された。

「俺は辛党なのだが……しかし、シンディーのためなら」

 普段は必要以上によく通る大きな声で話すくせに、最後の「シンディーのためなら」の部分だけ、消え入りそうな小さな声だった。彼のまっすぐに伸びた長髪が風になびいたとき、レイのものと同じピンクのリボンが、毛先に近い位置でその髪を束ねているのが見えた。
 あのときは、レイがシンディーにクレープを買ってやったのだった。そして、虎太郎とともに自分の分も購入した。
 三人は生クリームやフルーツがたっぷり挟まれたクレープを食べながら、また肩を並べて歩道を歩いた。

「ううむ、やはり甘いな」

 虎太郎はあまり得意でないらしい洋菓子の甘さに四苦八苦して、何度かしかめ面になりながらクレープを頬張っていた。だが、レイやシンディーと同じものを食べること自体は楽しんでいたように思う。そんな彼の口の端にクリームがついているのを見て、シンディーが笑っていた。
 友達は他にも大勢いたが、レイとって心から親友と呼べるほどの存在は彼らだけだったかもしれない。
 過去を思い出すうち、いつの間にか歩道の真ん中で立ち止まっていたことに気がついたレイは、再び歩きだした。クレープ屋の前を通り過ぎ、さらに先へ進む。足を動かすにつれて、次々と変化していく周りの景色は確かに目には映っているのに、視界からの情報は頭を素通りするかのように入ってこない。レイの意識は未だ、追想のイメージの中にあった。
 虎太郎は独特の堅苦しいしゃべり方ゆえに、初対面ではとっつきにくさを感じさせはするかもしれないが、親友の贔屓目を差し引いても、決して人に不快な印象を与えるタイプではない。生真面目で融通が利かないところはあったが、極端な真面目さと素直さが空回りした結果、どこか抜けている面も持ち合わせていた。本人はふざけているわけではないのに、その言動や行動が周囲の笑いを誘って場を和ませることも度々あり、そんなところに好感が持てた。
 そして、彼は色恋事に関しては非常に奥手で初心だった。彼がシンディーに恋心を寄せていたことは傍から見ていても容易にわかるほどだったが、本人は遠まわしに好意を表す言葉さえはっきりと口にできない、そんな男だった。
 だが、限りなく不器用ではあっても、虎太郎のシンディーに対する気持ちが一途で真剣なものであることは、彼の一番近くにいたレイが、誰よりもよく理解していた。
 適当に歩いていると、それほど大きくない交差点までやって来た。歩行者用の信号は赤だ。向かいの通りに渡るために信号が替わるのを待つことにしたが、特にそちらを目指す理由があったわけでもないので、なんとなく横断歩道から少し下がったところで足を止めた。
 道路を挟んだ向かいには公園が見える。平日だからか子供の姿はあまり無く、散歩をしている人がちらほらといる程度だった。くっきりとした明るい緑に色づいた芝生が、日光をまばゆく照り返している。
 この公園にも、三人でよく訪れた。若い三人には金銭的な余裕もあまり無く、毎度飲食店で金を使うわけにもいかなかったので、共に暇を潰すのには丁度いい場所だったのだ。
 シンディーから虎太郎と揃いのリボンをもらったのも、確かこの公園だった気がする。あれはいつだったか。正確な時期の記憶はすでにぼやけていたが、レイと虎太郎がSGAに入ったばかりの頃だったのは覚えている。おそらく、いつものように三人で木陰に集まって、他愛のない無駄話に興じていたときだっただろう。

「はい、これ」

 突然、彼女は期待の滲んだ微笑を浮かべながら、レイと虎太郎に向かって両手を差し出してきたのだ。彼女の手のひらには、淡いピンク色をしたリボンが二本乗っていた。
 レイも虎太郎も、彼女の唐突な行動の意味をすぐには掴めずに、目をぱちくりさせていたはずだ。レイはシンディーの手にあるリボンと、彼女の顔を交互に見た。

「くれるのか?」

 ようやく彼女の意図を察してたずねると、シンディーは「うん、あげる」とうなずいて、満面ににこりと笑みを広げた。

「レイも虎太郎も、二人とも、髪の毛長いから」
「ああ、髪に結ぶためにくれんのか。確かに、うっとうしいよな」

 言いつつ、レイはシンディーの手からリボンを一本つまみ上げた。虎太郎もそれに続き、遠慮がちに手を伸ばすと、もう一本のリボンを壊れ物を扱うようにそっと指先で持ち上げ、自分の手のひらの上に移動させた。
 あの頃のレイと虎太郎は、仕事やスポーツをするとき以外は長髪をひとまとめに結わえておらず、そのまま背中に垂らしていた。

「綺麗なリボンだな。これ、どうしたんだ?」レイは、わずかに光沢のある細いリボンを眺めながら聞いた。
「家にあったの。たぶん、前にアマンダと一緒に、買ったやつ」
「そっか。でも、俺がつけてたら変じゃねえかな? 俺みたいな男がピンクのリボンってのは、さすがにちょっと恥ずかしいぜ」

 実際に照れくさかったため、シンディーを傷つけないよう気遣いながらも、正直に自分の感想を告げてみた。

「いや、俺はうれしい。すごくうれしいぞ、シンディー」

 間髪入れずに、虎太郎がレイの語尾に被せるような勢いで言った。彼は大真面目な顔でシンディーを見つめ、わずかに頬を上気させながら、ひどく仰々しい調子で続けた。

「その……ありがたい。これは大切に使わせてもらおう」

 虎太郎は物が何であれ、シンディーからプレゼントをもらったという事実に感動を覚えるほどうれしかったようだ。学生時代からの付き合いであるのに、レイたち三人はそれまで、お互いにプレゼントを贈り合うというようなことは特に無かった。誰かの誕生日のときなども、いつもより奮発し、多少豪華な食事を囲んで祝うくらいだったので、そのためもあるのかもしれない。
 その様子が微笑ましくも、態度が大げさなせいでおかしくもあり、レイはくすりと笑いが洩れてしまうのを堪えきれなかった。幸い、シンディーと、彼女がくれたリボンに全神経が注がれていたらしい虎太郎には気づかれなかったようだったが。
 レイも自分の感情などはさておき、虎太郎にならって感謝の気持ちを伝えることにした。

「もちろん、俺もうれしいぜ。ありがとな、シンディー」

 二人から礼を言われた彼女は心底うれしそうに、にこにことしていた。
 そのときからずっと、レイも虎太郎も、シンディーからもらったリボンを髪に結んでいる。最初はやはり恥ずかしかったし、他の友達や同僚にからかわれたこともあったが、毎朝、必ずリボンを髪に結んで家を出ることが、気づかぬうちに当たり前になっていた。いつしかこのリボンが、自分たちの繋がりを示す象徴のようにさえなっていたような気がする。
 シンディーは喧騒に満ちた商業施設や飲み屋よりも、優しく穏やかな時間が流れているこの公園で過ごす方を好んでいた。彼女は、さえずりながら木から木へと羽ばたく小鳥を楽しそうに目で追い、時にはシロツメクサの上を飛んで寄ってきた蝶に喜び、自分の手で羽を休ませようとするように、その細い指を伸ばした。
 彼女はどこまでも純粋で、いつもあどけない表情で柔らかに微笑みかけながら、小首をかしげてレイや虎太郎の話に耳を傾けていた。彼女の子供のような仕草は、一人の女性としての魅力をとうに持ち合わせている外見には明らかに不釣り合いだった。
 虎太郎はそんな彼女が可愛くて堪らないようだったが、レイは彼女に恋をしていたわけではない。触れ方や力加減を少し間違えるだけで、ガラス細工のように儚く壊れそうな彼女のことを、放っておけなかった。日常生活の中に潜むささやかな脅威や悪意から、無垢な心を汚すすべてのものから、誰かが彼女を守らなくてはならない。そして、その役目を果たすのはきっと自分なのだと、レイは思っていた。虎太郎ではなく、自分なのだ。
 レイにとってシンディーは、まるで幼い妹のような存在だったといえる。そして、シンディーがいることによって、レイと虎太郎の友情はより深く、強固なものとなっていた。
 今も、レイの髪には彼女がくれたリボンが結ばれている。今となってはとても大切なものとなった、可憐なピンクのリボン。彼女と虎太郎を無事に助け出すまで、これは絶対に手放すことができない。
 そのとき、間近からの「おい」という声とともに肩を掴まれ、はっと我に返った。回想は唐突に途切れて消え去った。レイは、肩に置かれた相手の手を振り払うような勢いで振り向いた。
 レイのすぐ横に立っていたのは劉だった。よく見知った相手の姿に安堵するが、同時に戸惑いを感じる。いつの間にこんなに近づいてきていたのだろう。レイが思わず「びっくりした」と口に出してしまうと、劉は手を離しながらおかしそうに笑った。

「悪い悪い、何回も呼んでるのに全然気づかないからさ」
「そうだったんすか?」
「ああ。すごい近くで声かけてるのにまったく聞こえてないみたいだったけど、どうしたんだよ?」
「すいません、ちょっと考え事してました。……劉さんはなんでここに? 仕事中っすか?」

 今度はレイの方がたずねながら、改めて劉とその周囲を見回した。彼は、調査部が任務の際に着用する黒のスーツを着ている。一見したところ誰かと一緒ではないようで、一人でレイの目の前に立っていた。
 しかし、劉は向かいの通りを指差して言った。

「調査の任務だよ。僕の担当じゃないけど、調査部に依頼が来てる別の事件の関係で、そこの旅行代理店にちょっと用があってな。たいした仕事じゃないから、今年の春から入った後輩に任せることになるんだけど、まだ慣れてないからさ。その前にいろいろ教えなくちゃいけないんだ」

 レイは劉が指差した方向に目をやった。なるほど、確かに調査部と思しき男女が数人、道路を挟んだ斜め向かいにある小さな旅行代理店の店先に立っているのが見える。
 劉は「で、その役目を僕が頼まれたってわけだよ」と付け足した。

「どこの部署も人手不足っすね」
「ああ。まったくだ」

 劉は大げさに肩をすくめてみせたものの、強く不満に思っているようには見えない。

「俺が昼過ぎに本部を出るとき、ちょうど調査部の車も街に出て行くところを見ましたよ」
「昼過ぎだったらたぶん、僕たちの車だな。レイは今日はオフだったんだな」
「はい。午前中のミーティングだけ参加しましたけどね」

 今日の拠点でのミーティングには、劉は参加していなかった。

「そう言えばさ、さっき――」

 声のトーンを高くして何かを言いかけた彼は、しかし、なぜか途中で口をつぐんでしまった。視線もわずかにレイからずらしている。いったい、どうしたというのだろう。
 彼の鋭い目は、レイの背後を見ているように思えた。怪訝に思い、レイもその視線を追うように後ろを振り返ってみたが、そこには通りを行き交う大勢の人々の姿があるだけで、特に目を引くような気になるものは見当たらなかった。

「どうしたんすか?」レイは顔を前に戻して聞いた。
「いや、なんでもない」

 わずかな間があった後、そう返ってきた。レイは首をひねる。
 一瞬、何かを見間違えでもしたのだろうか? 先ほどの彼の表情は、明らかに何かを見つけたときのものだった。劉にとって気を取られるものが、レイの背後にあったことは確かだろう。それも、おそらく重要なものだ。それなら、レイに隠すわけは何なのか。もしかすると、彼の仕事――阿久津賢士の事件以外の調査も彼は手伝っていることがあるが、そちらの事件の情報なら、基本的にその事件の捜査担当者以外には詳しく話すことはできない――に関することかもしれない、とレイは思った。もしそうであるならば、ここでしつこく聞くのははばかられる。
 もう一度自身の背後と周囲を確認してもやはり何も見つけられなかったため、レイはひとまず彼の言葉を素直に受け取った振りをして、ついさっき彼が口にしかけていた話の続きの方を促すことにした。

「今、何か言おうとしてましたよね」
「あれ、そうだったっけ? なんだったかなあ。たぶん、たいしたことじゃないから別にいいよ」

 明るい笑顔を浮かべ、いかにも適当そうに言ってのける能天気な様子はいつもの彼であるのに、そこでも何か違和感を感じた。

「それより、今からどっか行くのか?」

 もやもやとするものを言葉としてまとめる前に話題を変えられてしまい、そのことについて考えることも、直接問いただすこともできなくなってしまう。

「せっかくの休みだから飲みにでも行こうと思ったんですけど、あいにく友達とは都合が合わなくて。チームのメンバーもみんな今日は遅くまで仕事ですから、どうしようかと思ってたとこっす。たぶん、もう少しぶらぶらしたら早めに拠点に戻ると思います」

 苦笑を交えつつ答えているうちに、胸に引っかかっていたような疑問は薄れていく。

「SGAに入ってからは、学生のときの友達とかとは予定が合いづらくなって、なかなか会えなくなりましたね。今の事件を担当するようになってからは、全然です」
「最近は特に忙しいからな。ここのところ、僕ともしばらく一緒に飲みに行ってないよな」劉は考えるように言ったあと、にっと笑って、寄りかかるように再びレイの肩に手を乗せた。「今日は遅くなりそうだから無理だけど、また仕事の後にでも付き合えよ」
「もちろんですよ。おごってくれるんすか?」
「それは無いな」

 即座に、わざとらしい真顔を作って否定される。

「いや、おかしいでしょ! 部署は違っても先輩なんですし、給料も俺とは比べ物にならないくらい貰ってるんですから、たまにはいいじゃないっすか」

 レイも彼の冗談に乗って笑いながら、突っ込みを入れる。

「しょうがないなあ。気が向いたら、そのうちな。なーんて……おっと、そろそろ仕事に戻らないと」
「あ、そうっすね。お疲れ様です」
「ああ。じゃあな」

 劉は一度ひらりと軽く右手を振ると、車の流れの止まった道路を渡って旅行代理店の方へと戻っていった。レイはその細い背中を見送った。先ほどの違和感については、どうしても気になるのならば、また後日聞いてみればいいだろう。
 自分の部屋を出る前から暗く翳りかけていた気持ちは、いつの間にか晴れていた。
 思い返せば劉の言った通り、最近は捜査チームのメンバーと飲みに行くことも減っていた。阿久津賢士の犯行は激化していたし、ついこの間までは重大な作戦の前だったのだから当然だ。しかし、このまま阿久津賢士の逮捕に近づいていけば、また皆と酒を酌み交わしながら気楽に笑い合える日常が戻ってくる。作戦の第一段階はすでに成功しているのだ。
 すべてを終えたあとのことや、健二のタイムスリップについてはまだどうなるかわからないが、健二のこともまた、バーやクラブに遊びに連れて行ってやりたいとレイは思った。何もかもに馴染みの無い世界で一人不安に苛まれ、心から落ち着くときなど無いであろう彼は、レイにとっては見慣れたこの時代の店や技術を目にして感動を覚え、とても楽しんでいたようだった。例え街に連れ出すことが無理でも、拠点に全員が集まれば、健二も交えて事件の解決を祝うことはできる。いや、事件が解決したのなら、健二だって堂々と外に出ることが可能になるのではないか。そして、その頃にはきっと、またかつてのように虎太郎やシンディーとも――
 そんな想像を巡らせるうちに、レイの口元は知らずほころんでいた。自分たちは今、近くで待ち受けている明るい未来に向かって歩んでいるのだ。暗い気持ちになどなっている場合ではない。想像が現実となるときまで、まだあと少し、しっかりとがんばらなくてはならない。
 レイは希望を胸に、活気溢れる街中をもうしばらく散策するため、とっくに青信号に切り替わっていた横断歩道を足早に渡り始めた。


* * *


 前回の事件に関するミーティングからさらに数日が過ぎたが、拠点での穏やかな日常に未だ変化は無かった。
 健二は昼食を終えたあと、リビングのソファに座って、今ほどレイから渡されたばかりの資料を見ていた。状況が少し落ち着いたことで、ようやく阿久津賢士のプライベートな部分について知ることのできそうな資料が無いかたずねる機会があり、数冊の雑誌を渡されたのだ。雑誌の中に阿久津賢士のインタビュー記事が載っていると説明したレイは、それらを健二に手渡しながら、「こんなもんしかねえから、参考になるかはわかんねえけど」とすまなそうに言い添えた。
 食事はレイとゆかりとアマンダの三人と一緒にとったが、彼らはすぐには本部や自分の部屋へは戻らず、少し離れたダイニングテーブルの方に集まって話をしていた。
 さっそく読み進めた雑誌の内容は、医療の分野などで、人体に機器を埋め込む治療法を取り入れることの必要性について、阿久津賢士が語っているインタビュー。そして、今後すぐに実用化されるであろう新型のロボットや、人間に限りなく近いアンドロイドの開発など、彼の――阿久津コーポレーションの持つ技術について紹介されている記事。それらはこれまでに見せてもらった資料と大差の無い内容で、健二はいささかがっかりした。彼の詳しい生い立ちや家族関係、性格などについて知ることはできない。SGAが再度集めた資料でもここまで情報が得られないのは、さすがに不自然にさえ思えるほどだ。
 ふと、廊下に人の気配がして顔を上げると、ちょうど入り口から劉が入ってきたところだった。彼は「やあ」と軽く健二に挨拶すると、SGAメンバーの誰かに用があるのか、健二が挨拶を返す間も無くソファの横を通り過ぎ、レイたちのいるダイニングテーブルの方へ足早に歩いていった。
 仕事の話なら邪魔をしてはならないと思い、健二は彼らの交わす会話を聞きながら、また雑誌の文字を目で追うことにした。

「あれ、劉さん。またサボりっすか?」

 レイがふざけた調子で言うのが背後から聞こえた。

「違うって。まあ、捜査部にいる方が居心地が良いのは確かだけど」
「そうなの?」アマンダが少し不思議そうにたずねている。
「ああ。部署ごとにだいぶ雰囲気が違うからな」
「劉先輩ったら。別に、調査部もそんなに悪いところじゃなかったじゃないですか」声に笑いを滲ませながら、ゆかりが言う。「確かに、ちょっと硬い雰囲気はありますけど」
「だろ? そこが苦手なんだよ。あの部屋にずっといると、息が詰まりそうになるっていうか……」

 大げさに嘆くような声音からは、どこまで冗談なのかが掴みにくい。

「調査部は他の部署より、重大な機密情報や個人情報を扱う機会が多いですから、硬い雰囲気はそういった影響もあるのかもしれませんね」
「まあ、それもあるな。それに、調査のためにそういうデータを見るときって、部署内で閲覧の申請を出したりとか、面倒な手続きが必要だろ? 調査以外の目的でデータを使おうとしたりする奴がいないかチェックするためだけど、そのせいで、どうしても同僚の行動をお互いに監視しなくちゃいけないようなところも多少あるし。それでピリピリするっていうのもあるかもな」

 そこで、ふと思い出したというように、アマンダが「あ、そっかあ」と声を上げた。

「そう言えば、ゆかりは元々調査部だったんだよね」
「ええ。そんなに長い期間じゃなかったけれど」
「入ってきたばかりの頃は、僕が仕事を教えてたんだ」

 そう言った劉の声は、心なしか得意げだった。

「ふふふ、そうでしたね」

 ゆかりが以前は調査部に所属していたというのは、健二は初めて耳にする話だった。だから彼女だけ、劉のことを今でも「先輩」と呼んでいるのだろうか、と健二はぼんやりと思った。
 視線こそ今も開いた雑誌のページに注いだままだったが、健二の意識はほぼ完全に、後ろから聞こえてくる会話の方に向いていた。

「ところで、レイにちょっと聞きたいことがあって寄ったんだけど」

 突然、真面目な声になった劉が切り出した。

「俺にっすか?」
「ああ。この男に見覚えは無いか?」

 彼はレイに向かってたずねながら、何か写真などの資料を見せていると察せられた。

「いや……」レイは少し考えるような間を置いてから答えた。「たぶん、無いと思うんすけど……この人がどうかしたんすか?」

 健二は好奇心に打ち勝てず、そのときにはすでにソファの上で体をひねり、背後を振り返っていた。やはり、劉がホログラムディスプレイを空中に投影しており、皆がそれを囲むようにして立っている。ディスプレイには何が映っているのか、手前にいるレイやゆかりの背中に阻まれ、ここからではよく見えない。
 健二は立ち上がると、ゆっくりとそちらに近づいていった。

「いや、まだ僕の気のせいって可能性もあるんだけど、実はさ――」

 体を傾けてレイとゆかりの背後からそっと覗いてみると、証明写真のようなバストアップの人物写真と、文字のデータがその横に並んで大きく表示されているのが見えた。
 写真の人物の顔を視界に捉えた瞬間、健二は自分の目を疑った。反射的に思わず「あー! この人!」と、大声を上げてしまう。全員の視線が一気に健二に集まった。

「知ってるのか?」

 劉が驚いたように目を見開いている。彼の手元のホログラムディスプレイ、そこに表示されていた写真に写っていた人物は、以前レイと訪れたバーで健二に話しかけてきたあの男だったのだ。

「この人、前にレイが外に連れて行ってくれたとき、バーで俺に話しかけてきた人ですよ!」

 健二は衝撃と興奮のあまり、写真を指差しながら訴えるように叫んだ。

「なんだって?」途端に、レイが顔色を変える。「マジかよ?」
「ああ」

 健二は強くうなずくと、さらに近寄ってレイとゆかりの間に入ることで彼らの輪に加わり、もう一度じっくりと写真を眺めた。間違いない。あの男だ。
 際立った特徴の無い、平凡な顔立ちをした東洋人の男。年齢は二十代半ばから後半くらいの間だろうか。あのときも間近で見た一重まぶたの目は、涼やかながらも冷たい印象を受ける。薄幸そうとも表現できるような、どこか影を感じさせる雰囲気だ。あのときは店内が暗かったので気がつかなかったが、右目の下に泣きぼくろがある。

「バーで話しかけられたって、どういうことだよ?」今度は劉が訝しげにたずねる番だった。
「六月の初めに、レイが『ラ・スパツィオ』っていうバーに連れて行ってくれたとき、少しの間レイと離れて一人になった時間があって――」

 健二が話しながらレイを見ると、彼が補足を入れた。

「俺が、アンチ・テクニシズムの不穏な活動について何か知ってそうな二人組を見つけて、話を聞きに行ってた間です」
「レイが戻ってくるまで、俺はバーのカウンター席で待ってたんですけど、そのとき、俺の隣に座って声をかけてきた人がいたんです」

 健二はそのときの出来事と、黒づくめの男――目の前の写真の人物と話した内容を説明した。

「おいおい、そんなことがあったならすぐに言ってくれよ! そしたらそのとき調べられたのに」
「すみません。そこまでたいした話をしたわけでもなかったので、つい、緊張していたせいで俺が疑わしく感じてしまっただけなのかもしれないと考えてしまって……」

 あのときは極度の警戒心が初対面の男を実際以上に不審に見せているのかと思ったが、レイのことを尾行していたとなれば、これはもう怪しい人物以外の何者でもない。
 劉だけでなく、同じくこの件を初めて聞いたらしいゆかりやアマンダも衝撃を受けているのが、その表情からうかがえた。

「すいません……ボスには報告したんですが」レイの方も素直に謝った。

 確かにクレイグには報告し、念のためにレイがあの日の入店者履歴を調べもした。だが、特に犯罪歴のあるような人物やデータに不自然な点のある人物はいなかったことで、しばらく様子を見るということになったのだ。何より、あのときはアンチ・テクニシズムの集会のことがあったため、そちらに時間をかける余裕が無かった。それで、ゆかりたち他のチームメンバーへの報告も成されないままになってしまっていたのだろう。

「あの頃は文芸交流センターに潜入する作戦の準備で手一杯だったし、そのあとも今度は事件の処理とかいろいろあって、みんな忙しかったものね」

 それらの事情に納得したように、ゆかりが一人うんうん、とうなずきながら言った。

「で、この男は何者なんすか?」と、レイが改めて劉にたずねる。
「桜木聖也。二十八歳。独身。都内在住で、職業は中学校の教師」

 表示されている資料に記されたデータを読み上げたあと、劉は顔を上げてまっすぐにレイを見据え、続けた。

「この男が、君の後をつけてるところを見たんだ」
「俺の後を?」レイが目をしばたたく。
「ああ。気がつかなかったのか?」
「はい、まったく……いつっすか?」
「ほら、この間僕が別の仕事の調査で外に出てたとき、街中で偶然会っただろ? あのときだよ」
「あのときって、歩道でほんのちょっと話しただけですよね? よく、この男が俺の後をつけてるってわかりましたね。マジで俺を尾行してたんすか?」
「実は、交差点のところで声をかける前にも一度、君を見かけたんだよ。旅行代理店に向かう途中で車を停めて待機してるときがあったんだけど、それが君の家があるビルの近くで、ちょうどビルに入っていくところを見たんだ。そのとき、君の少し後ろから歩いてきてたこの男も、続いてビルに入るのを見た」
「マジっすか! 全然気づかなかったというか……意識してなかったです」
「あの辺りは人通りが少なかったから記憶に残ってただけで、僕もその時点では特に気になったわけじゃないんだけど、そのあと交差点の近くで話してるときも、同じ男が少し離れた建物の影に立って、こっちを見てるのに気がついたんだ」
「もしかして、俺の後ろを見てたと思ったのはそれだったんですか?」

 劉がうなずく。当然、横で聞いている健二は彼らの言う状況を直接見ていたわけではないので想像を巡らせるしかないが、話の流れで大体は理解できた。

「僕と目が合ったら、相手は急に身を翻して去っていった。こっちを警戒してるような目つきだったし、その行動が怪しいと思ったんだ。もちろん、それだけでレイの後をつけてたと断言できるわけじゃないから、ほとんど勘なんだけどな」
「でも、前に健二が会ったことあるっていうなら、レイのことを尾行してたのはほんとっぽいよね」

 アマンダが言い、皆が同意を示して首を縦に振った。

「だとすると、たぶん尾行をやり慣れてない素人だと思う。実際、職業は教師だし」
「この人も阿久津賢士の関係者なんですかね?」

 誰に問いかけるべきか決めかね、健二がその場にいる全員を見回すように視線を動かしながら疑問を口に出すと、劉がうなずいた。

「ああ。レイに心当たりがあるわけじゃないなら、ただの中学の教師がSGAの捜査員であるレイを尾行する理由なんて無いだろうから、このタイミングならまずそう見て間違いないと思うけど」
「じゃあ、俺に話しかけてきたのも、最初から俺のことを探るつもりで……」

 健二は状況を整理しようと考えながらも、自分がとんでもない過ちを犯したのではないかと不安になってきた。しかし、神妙な面持ちのゆかりが落ち着いた口調で口を挟んだ。

「でも、阿久津賢士は私たちが研究所での作戦を決行するまで、健二くんの存在を知らなかった。もちろん、彼の言い分を信じるのなら、の話だけれど」
「そうすると、こいつは健二と会ったっていうときも、最初はレイの方を尾行していたんだろうな。それで、たまたま一緒にいた健二に声をかけるタイミングがあったから、レイやSGAについて何か情報が得られないかと思って近づいてきたのかもしれない」

 顎に手を当てながら、劉がゆかりの言葉を引き継いだ。それから、彼は健二に目を向け、射抜くような真剣なまなざしでじっと見つめてきた。

「本当にこの男だったんだな?」
「はい、間違いないと思います」

 健二はやや緊張しながらも、確信を持って答えた。

「レイについて聞かれたり、拠点のことを話すようなことは無かったんだよな?」
「はい。本当に、当たり障りの無い世間話のような会話に相づちを打ったり、うまくしゃべれたかは自信が無いんですが、いろいろごまかしながら適当に答えていただけで……あ、俺の名前は聞かれましたけど、とっさにSGAが用意してくれた偽の個人認証カードのことを思い出して、そこに登録されてる安達健一っていう名前の方を名乗りました」
「へえ、やるじゃん健二!」

 アマンダが感心したような声を上げた。特別に褒められるようなことでもないと思った健二は、アマンダに向けて微笑を浮かべつつ「そんなことは……」と否定しかけたが、それを劉がさえぎった。

「いや、でもそれはほんとにナイスだったと思う」
「ああ、そのおかげで阿久津賢士に健二のことを知らせる時期や場所を、こっちに不利にならないようコントロールすることにも成功したんだからな。さすがに健二がそのとき“阿久津”って名乗ってたら、あのじいさんが何か勘づいてた可能性は高えし」

 レイも笑みを浮かべて同調する。それはまさにその通りだと思った健二は、深くうなずいた。そして、再び目の前に表示されている男の写真を見つめて、次に傍らに立つレイを見上げた。

「やっぱり、この人も洗脳されてたのかな?」

 レイは「どうだろうな……」と顔を曇らせた。その呟きを最後に、皆しばし、思案顔で押し黙ってしまう。少ししてから、レイがその沈黙を破った。

「とにかく、この男のことは早急にもっと詳しく調べなきゃいけないっすね」
「このあとすぐにボスに報告して、もう一度最近の監視カメラの映像で足取りを追えないか、検索をかけてみる。行動パターンとかもわかるかもしれないしな。あと、『ラ・スパツィオ』の入店者記録も改めて確認しておくよ」

 レイと劉は目を合わせてうなずき合った。

「とりあえず、これから外を移動するときは誰かに後をつけられたりしてないか、気をつけといた方がいい」
「不用意に出歩かないことっすね」
「こいつの他にも阿久津賢士がSGAを調べさせるために使ってる人間がいるかもしれないから、近づいてくる奴にも要注意だな」
「私たちも気をつけます」

 心配げに眉を寄せながら、ゆかりが言った。

「それにしても、確証というか、この桜木って男が俺を尾行してる確かな証拠は無かったのに、よく調査の許可が下りましたね。どうやって申請したんですか?」

 先ほどまでの緊張感は消え去り、いつもの明るいトーンの声に戻ったレイが、劉に顔を向けて言った。

「そこは適当に、事件に関係のありそうな人物ってことで」
「もし何の関係も無い一般人だったらどうするつもりだったんすか?」
「そのときはそっと無かったことにしておきたいけど……バレたら怒られるだろうな」

 二人が笑う声を聞きながら、健二は再び、ホログラムディスプレイが映し出している資料を見た。写真の中の男を見つめ、彼とバーで話したときのことを思い返すうちに、健二は胸にかすかな不安が漂ってくるのを感じていた。



>> To be continued.



ずいぶん長くお待たせしてしまってすみません!

ようやく、レイ・虎太郎・シンディーの元親友三人組の関係や過去について、少し触れられるところまでやってきました!
そして、バーで接触してきた男の正体もわかりました。

今回はほとんどがかなり前から詳しく考えていた場面や展開で、戦闘描写も無かったにも関わらず、なぜかすごく書くのが難しかったです…特に回想シーン!
まあ、書くのが難しいというのはいつも言っているような気もしますが(笑)
自分の状態などの理由もありますが、小説を書き慣れていなかった「第一話」の最初の方を除けば、おそらく今までで一番書くのに時間がかかったと思います(一ヵ月半以上です)

同時に、また前回以上の長さにもなってしまってるんですけどね(笑)
現在は一話を六分割で統一していますが、あまりにも一回の文字数が多すぎて(なかなか完成しないことから)私のモチベーションが途中で下がってくるので、「第六話」以降は一話を何分割にするかは固定にせず、だいたい今の半分くらいの長さまで書いたら切りの良いところで区切る形式に変更しようと考えています。
また、次回の06更新時に詳しくお知らせします。

とにかく、今回も無事に更新できて良かったです!
読んでくださった方、本当にありがとうございました!!
四苦八苦しながらもがんばっています(今後もがんばっていきます)ので、少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです。

読者数の参考にしたいので、小説を読んでくださった方は各記事の拍手ボタンを押していただけますと助かります。
もちろん強制ではありませんので、気が向いたらで構いません!


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