ちっちゃいフランツ

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と、肉食系ヒロイン・アマンダ(笑)

アマンダ「フランツ可愛いよ~(*≧д≦)」 ぎゅ~

『フランツ可愛い可愛い』って萌え萌えしてるアマンダ。
NLは女×男が好きです。


小説に拍手をくださった方、ありがとうございました!!すごく嬉しいです^^*

桜木先生落書き

この記事以来、初めてちゃんと桜木を描いた(笑)

未来への追憶/桜木聖也

桜木 聖也(さくらぎ せいや)

今連載中の「未来への追憶」に登場するキャラクターです。
普段「桜木」とか「先生」って呼んでるからたまにフルネームを書くと「そう言えばこいつの名前聖也だったな~」ってなりますw

このキャラが小説に登場するのはもうちょっと先になります。


未来への追憶/桜木聖也

ちなみに桜木は一重です。

未来への追憶 第一話 - 03

 弾かれたように音がした方に体を向けると、そこには白人の男が立っていた。
 長身で、ハリウッドスターのような二枚目だ。右目は黒い眼帯で覆われており、黒いロングコートを羽織っている。街を歩けばさぞかし注目を集めるに違いないという格好だ。まるで、そのまま映画の世界から抜け出してきたかのような雰囲気だった。もしかしたら、本当に仕事中の俳優なのかもしれない。両手に一つずつ持っている変わったデザインの植木鉢だけが、彼がまとっている独特の空気の中でひどく浮いていた。
 男の背後で、ガラス戸が先ほどと同じ音を立てて横にスライドする。どうやら、この建物は庭へと通じるドアが自動ドアのような造りになっているらしい。
 男はたった今建物の中から出てきたところのようだ。そして、健二を見つけた。驚きに見開かれたグリーンの瞳が自分に向けられていることに気づき、健二は我に帰った。時間にするとわずか数秒のことだったのだろうが、思わず相手を凝視したまま硬直してしまっていた。
 急いで立ち上がると、とにかく何か言おうと口を開く。だが、言葉を発しかけたところで思い直し、再び口を閉じた。
 見たところ彼は外国人だ。果たして日本語で話しかけて通じるのだろうか? そもそも今のわけの分からない状況では、ここがまだ日本の中であるのかさえ怪しいのではないか。
 一瞬の迷いの後、健二の口から出たのは英語だった。「すみません」と、英語で話しかける。
 大学時代の留学経験もあり、幸い英語は得意分野だった。仕事として扱えるほどではないが、日常会話程度の英語なら問題なく話すことができる。

「すみません、ここはどこですか?」

 英語で問うと、もしあなたの家なら申し訳ないのだが、と断り、ついで自分のことや今の状況を簡単に説明しようとした。そうすれば、恐らく目の前の彼は健二の言葉に耳を傾けた後、質問に答えてくれるだろうと思っていた。
 ところが予想に反し、健二が話し始めると今度は相手の方が突然慌てたそぶりを見せた。先を続けようとした健二を制するように、植木鉢を持ったままの片手を軽く上げる。

「待てよ、日本語でいいぜ」

 とても流暢で自然な日本語だった。
 健二があっけに取られて言葉に詰まると、彼は照れくさそうな笑みを浮かべた。

「悪ぃ、俺、そんな英語得意なわけじゃねぇんだ」

 そう言って明るく笑うと、健二に近づいてきた。
 てっきり留学や仕事などで短期滞在中の外国人だろうという先入観を持っていたが、どうやらそういうわけでもないらしい。彼の言葉は英語圏の出身ではないという意味だったのかもしれないが、もしかすると日本生まれなのかもしれない。それくらい、彼の日本語には何の違和感も無かった。日本人以外が完璧な発音とアクセントで日本語を話す場面を間近で見る機会が今まで無かったため、面食らってしまう。
 しかし、少なくとも自分が気を失う前と同じく日本にいることがわかり、その点についてはいささか安堵する。
 彼は健二から少し距離をあけて立ち止まった。相手の方が十センチ以上は背が高く、近くに来られると自然とこちらが見上げる形になる。
 健二は、「まあ、やっぱたまにあるんだけどな、こういうこと」と話す男を呆けた表情で眺めていた。
 いかにも女受けのよさそうな甘いマスクで、黙っているとクールな印象も与える男だったが、笑顔になると途端にとても人懐っこい印象になるようだ。
 しかし、男はそこでふと気がついたように真剣な表情になった。

「つーか、それよりお前誰だ?」
「あ、えっと、俺は……」

 今度は突然の質問で話を戻され、すぐには返答が出てこなかった。そもそも、先ほど自分から説明しようとはしていたものの、何と言えばいいのだろうか? 自分でも事態が把握できていないために、そうやって相手の方から問われるとどこから話し始めればいいのかわからない。
 健二が言葉を探している間に、男は右手に持っていた植木鉢を左腕で挟むように持ちかえると、自分のコートの内ポケットをごそごそと探った。そして、何やら手のひらよりも小さいサイズの黒いカードのようなものを取り出す。それを健二に向かってかざすような動作をした。その様子が何かに似ていると思い、すぐに思い至る――スマートフォンで写真を撮る姿だ。

「SGAの人間……じゃねぇよな」

 カードをじっと見つめると、男はカードの上で親指を少し動かしてから確かめるようにぼそりと呟いた。その様子から察するに、やはりそれはスマートフォンかタブレット端末のように見える。しかし、だとするととんでもない薄型だった。近くで見ても、ただの紙だと言われた方がしっくりくる薄さだ。
 男はそれを再びポケットの中にしまうと、少し警戒する顔つきになって一歩後ろに下がり、健二から距離をとった。怯えなどの感情的な理由ではなく、そうするべきだと冷静に判断してとった行動といった感じだった。

「お前、何なんだ? なんでここにいる? どこから入った?」
「い、いや、俺はその、えーっと……」

 立て続けに質問を浴びせられ、緊張感からしどろもどろになってしまう。何せこの男――変わった格好をした白人で、その上健二が日常生活では目にしたことのない機器のようなものを扱っている――が出てきたことにより、より混乱が深まってしまったのだ。
 健二の態度に、最初は朗らかだった相手の顔にだんだんと不信感があらわになってきた。
 果たして、こんな非現実的な話を信じてもらえるだろうか。余計におかしな人物だと思われるかもしれない。だが話し始めなくてはまずいと思い、健二は唾を飲み込むと口を開いた。

「き、気がついたらここにいて……」

 ところがすぐに、よく通る女の声が健二の言葉をさえぎった。

「どうしたの?」

 健二を注意深く見つめていた男は声のした方を振り返ると、「ゆかりさん」と呟いた。その声にはわずかに柔らかな響きが戻っている。男が体を反転させたため、彼が長髪で、豊かなその髪を後ろで一つに束ねていることがわかった。
 健二も男の視線の先に目をやる。先ほど男が出てきたのと同じドアから、ちょうど一人の女が庭に足を踏み出してきたところだった。彼女も男と同じような黒いロングコートを着ており、片手には小さめの植木鉢が一つ収まっていた。
 今度は日本人のようだ。歳は三十前後だろうか。東洋人らしい、どこか控えめで柔らかい顔立ちをしている。一言で言ってしまえばとても美人だった。こんな緊迫した状況だというのに、一瞬見とれてしまう。

「外に出たらこいつがここにいたんだ」

 男は健二を親指で指し示して言った。
 女はそれを聞くと不思議そうな顔で小首をかしげ、長い黒髪を揺らして健二と男に近づいてくる。その隙に健二は必死で口を開いた。

「あ、あの! 事故に遭ったと思ったんですけど――交通事故です、歩道を渡っていたらトラックにはねられたんです。でも、なぜか目が覚めたらここにいて……その間のことは何もわからなくて……ほんとに、自分でも何がなんだかわからない状態なんです。本当にすみません!」

 一息に言いきると頭を下げる。やはりこの場所は彼らの私有地か何かのようで、ひどく怪しまれている。詳しい説明よりも、とにかくまずは自分が彼らに害をなしたり、犯罪を行うためにここにいるのではないということをわかってもらうのが先だと思った。
 顔を上げると、二人ともじっと健二に視線を注いでいた。女は驚いた表情を浮かべている。隣に立つ男とちらりと顔を見合わせると、また健二に視線を戻した。

「何も覚えていないの?」

 しばらくして、健二の頭のてっぺんからつま先までを観察するように見つめていた女がそう問いかけてきた。先ほどの、早口でまとまりの無い内容では上手く伝わらなかったようだ。
 健二は落ち着いて答えられるよう、一度大きく息を吸うとゆっくりと吐き出した。

「いえ、あの、自分は会社員なんですけど、東京で会議に出席していたんです。それ以前の記憶は全部あるんです。ただ、会議から帰る途中に事故に遭ったところから、いったいどうなったのかがまったく思い出せなくて……」

そこで一旦息をつく。

「気がついたらここにいたんです」
「気がついたらここに?」

 女は、健二の答えにさらに目を丸くした。

「はい。そこに倒れてたみたいで」

 そう言って、健二は自分が仰向けに寝ていた辺りの地面を指差した。
 目の前の男女は再度顔を見合わせる。眉をしかめたその表情から、二人が健二が話す内容を心底奇妙に感じていることが見てとれた。健二の脳内は正常な状態にはないと思われたかもしれない。

「変な話だっていうのはわかってます。確かに事故には遭ったはずなのに、なぜか怪我もしてなくて……でも、嘘じゃないんです。この場所にも見覚えはありません。あの……ここはどこですか? 町の名前とか」
「詳しい住所とかは言えねぇけど、東京だよ。もちろん日本のな」

  さりげなく一番気になっていることを尋ねると、男が答えた。今度こそようやく回答を得られてほっとする。東京。ということは、事故の現場からさほど離れていないのかもしれない。
 またしばらくの間があり、女が男の方に顔を向けた。

「彼、本当に困っているように見えるわ。ひょっとしたら、何かの事件か事故に巻き込まれたのかも。記憶障害も起こしてるみたいだし。彼が言ってる、交通事故とは別の何かに」

 それを聞くと、男は難しい顔で考え込む様子を見せた後、独り言のように「……演技かも」と呟いた。健二はとっさに否定しようとしたが、女が男との会話を続けたためにそれは叶わなかった。

「でも、そこまで怪しい人には見えないわ」

 そう言って健二に目をやる。男も女の視線を追うように健二を見ると、戸惑い気味にうなずいた。

「俺にもそう見える。……けど、見かけじゃわかんねぇよ。もし、ほんとは怪しい奴だったら? 簡単に信用すんのは危険だぜ」

 それは決して女を責めるような調子ではなく、純粋に心配している口調だった。そして、「それに、もしかしたら……」と言葉を濁すと、「あいつにどんなことができるか、わかるだろ」と抑え気味の声で続けた。
 健二には何のことだかさっぱり読み取れなかったが、彼らがある事柄についてひどく警戒しているようなのはわかった。
 女は「そうね」とうなずくと、強張っていた表情を少し和らげた。

「でも、とにかくちゃんと話を聞いてみましょう。どちらにしてもこのまま追い出すわけにもいかないし」

「そりゃそうだな」と男が眉をしかめて唸り、女は健二に向き直ると優しげな微笑を浮かべた。不安で満たされている健二に、わずかながら安心感をもたらしてくれる笑みだった。

「このままちょっと待っててもらえるかしら?」

「あ、はい」と、半ば反射的に答える。
 女は何かを語りかけるように男の目を見た。それに答えて男が首肯し、女は植木鉢を芝生の上に置くと室内へと引き返した。彼らは目顔で意思の疎通ができるような近しい間柄のようだ。
 男も植木鉢を地面に下ろし、腕を組んだ。困惑の色が浮かんだ顔は相変わらず健二に向けられていたが、二人きりの間、彼は何も言わなかった。健二が言葉を発することができる雰囲気でもなく、緊張感をあおる沈黙が続いた。
 程なくして、ゆかりと呼ばれていた女が戻ってきた。
 彼女は東洋人の男を伴っていた。外見からは三十代後半くらいに見える。細く鋭い目が蛇を思わせる男は、黒いスーツに同じ色のネクタイを締めていた。
 彼は健二の姿を捉えると、「ああ、君が侵入者か。へえ。そうかそうか」と軽い調子で言い、懐に手を入れた。そして、そこから取り出した鈍く光る塊をまっすぐに健二に向ける。
 健二の口から、ひっと引きつったような悲鳴が漏れた。
 現実の世界では武器などとは縁の無い生活を送ってきた健二にも、それがどう見ても銃であることだけはわかった。



>> To be continued.



またもや更新予定日を過ぎてしまい申し訳ないですorz
そして、またもや予定より文章量が多くなりました(笑)

前回、前々回の記事に拍手をくださった方々、ありがとうございます!!><*
読んでくださっている方がいるだけでとっても嬉しいです!励みになりました!
頑張って更新続けていきますね!(*´▽`)

次回も一週間後の更新を目指します!


未来への追憶 第一話 - 02

* * *


「私も、自分の用事くらい自分でできたらいいんだけどねぇ」

 老いのために車椅子生活となった健二の祖母は、健二が十一歳の時にそう言った。
 それは、デスクに置いてある祖母の虫眼鏡を取るため、健二が彼女に背を向けた時に呟かれた言葉だった。
 母と共に、一人暮らしの祖母の家に手伝いに来ていた時だ。祖父はすでに他界しており、その頃は家事などの手伝いをするため、よく母と二人で祖母の家を訪れていた。とは言え、小学生だった健二は祖母と話をしたり、一緒に花札などの簡単な遊びをしたりすることが中心だったのだが。祖母にとっては健二が来てくれるだけで幸せだったし、健二の母もそれをわかっていた。
 リクライニングベッドに体を預けて本を読もうとしていた祖母は、離れたデスクの上に置きっぱなしになっていた虫眼鏡を自分で取ることができず、側で遊んでいた健二に頼んだのだ。
 ふと漏らしたといった具合の祖母の声は寂しげで、まだ幼かった健二にも何かを感じさせた。
 簡単なことでさえ、いつもいつも人に手を貸してもらわなければならないことへのもどかしさや申し訳なさがあったのだろう。
 普段の祖母はそんなことを微塵も感じさせない明るい性格だったために、その言葉はより強く健二の記憶に残ることとなった。健二が虫眼鏡を手渡すと、彼女が「ありがとう」の代わりに「悪いねぇ」と言ったことまで覚えている。
 その後まもなく祖母は施設への入所が決まり、ほぼ寝たきりの状態となった彼女は大好きな孫の名前も、やがては自分の名前さえも思い出せなくなった。
 祖母の死後、高校を卒業した健二は大学へと進学した。
 健二の父は工作好きで、健二が幼い頃はよく自慢の手製のおもちゃを与えていた。その父の影響もあり、もともと物を作ることが好きだった健二が工学の道に進んだのは自然な流れだった。
 そして、その頃には健二の目指すものはすでに、徐々に形を成しつつあった。
 健二の心にあったのは一つ。元気だった時の祖母の笑顔と、あの日、ベッドの上で悲しそうに漏らした祖母の言葉。
 今は介護が必要とされている人々も、彼らがそれを望んでいるなら、もっと自分の力で自由に生活することが可能になればいいのに。
 そのための助けとなる機械やロボットを、自分の手で作り上げる。
 それが健二の夢であり、必ず実現できると信じている未来だった。


* * *


 目を開けると、視界には灰色を混ぜたような薄いブルーの空が広がっていた。小さな雲がいくつも浮かんでいる。
 眩しくて思わず目を細める。健二は自分が屋外に仰向けに寝ているのだとわかった。
 背中越しに伝わる感触は柔らかい。手触りから察するに、地面は芝生のようだ。
 しかし、なぜ自分はこんなところに寝ているのだろう。どうやら眠っていたらしいが、眠りに落ちる前、自分がいったい何をしていたのかが思い出せない。
 頭は霞がかかったようにぼんやりとしていたが、体は軽く、気持ちはとても落ち着いていた。不思議なほどの爽快感が満ちている。
 ゆっくりと上体を起こしてみる。辺りを見回すと、そこは建物の中庭のような場所だった。戸建ての一軒家のようにも見えるが、それにしてはいささか大きすぎるような気もする。豪邸か、それとも公共の施設か何かなのだろうか。
 庭をぐるりと取り囲んでいる建築物は三階建てだった。外壁はレモンイエローで、とにかく窓の数が多い。白い窓枠の大きな窓がいくつも取りつけられており、中庭へと通じる窓や扉も複数ある開放的な造りだった。ガラスがはめ込まれた扉もあり、窓枠と同じ白色をしている。
 ところが窓ガラスも扉にはめ込まれたガラスも、ガラス自体に特殊な加工でもしてあるのか、室内の様子は闇に包まれているかのように何も見えなかった。
 健二の丁度正面にはテラスがあり、ガーデンテーブルとイスが二脚あるのが見える。
 風変わりな形をした植木鉢やプランターから顔を出した花達が、テラスや芝生の上で庭を鮮やかに彩っていた。
 芝生の中央には飛び石が不規則に、だがバランス良く並んでいる。向かって右端の方には木造のベンチも一脚置いてあった。それらの間にぽつぽつと、数本の木が植えられている。
 建物も庭も上品で温かみを感じさせ、見る者に明るい印象を与えるデザインだ。だが、健二は同時に、全体的にどこか違和感のようなものがあることに気がついた。
 一見すると普通の家と変わらないように見えるのだが、何かしっくりこない部分があるのだ。だが、ぱっと見た時の印象のようなもので、具体的にどこがおかしいのかと問われてもすぐに答えられる類のものではない。
 それは窓枠のちょっとした形の違いであったり、見慣れた物たちの中に見慣れない物が混ざっていることであったりしたのかもしれないが、じっくりと細部を観察する余裕も無く、その違和感が何であるのかはわからなかった。
 自分の記憶が確かならば、まったく見覚えの無い場所だ。
 気がついたら見知らぬ場所にいた、という状況の原因として健二に思いつくのは、泥酔による記憶障害だけだった。
 健二はあまり酒を飲む方ではない。酒に強くないためであり、付き合いでたまに飲む程度で記憶を無くすまで飲んだことなど三十年生きてきてただの一度も無い。
 それゆえに信じがたかったが、考えられる可能性が過度の飲酒しか無い以上、それを疑うしかなかった。
 しかし、再び記憶を探ってみようとした瞬間、突如として健二の脳裏に一つの場面が浮かび上がった。
 スローモーションで近づいてくるトラックの無機質な顔と、鋭いブレーキ音。
 そうだ。自分はトラックに撥ねられたはずだ。
 そこから、まるで川の奔流のように記憶がよみがえってくる。
 いつもより早く起きて東京行きの電車に揺られ、本社の会議に出席し、プレゼンを行ったことが早送りの映像のように再生される。
 結局、全身全霊で挑んだプレゼンは失敗に終わり、ひどく落ち込んだ。神奈川に戻るために駅に向かっている最中はずっと上の空で考え事に耽っていた。
 そして、トラックに撥ねられた。
 慌てて自分の体を確認する。
 驚くべきことに傷一つないどころか、着ていたスーツには事故に遭ったことが伺える乱れや汚れすら無かった。当然、痛みを感じる箇所も無い。
 これはいったいどういうことだ。本来ならば、集まってくる人々の心配そうな視線に見守られて固い道路の上で呻きながら瞼を開けるか、病院のベッドの上で白衣の医師や看護士たちに見下ろされて目を覚まさなければならないはずだ。
 トラックに衝突された哀れな自分を、誰かがわざわざこんなところまで運んできて捨てるとは思えない。トラックの運転手が証拠の隠滅をはかったのなら別だが、それにしては中途半端すぎる気がする。
 何より、あれだけの衝撃を受けて無傷で済むとは到底思えなかった。
 まさか、ここは天国だろうか? あの事故で自分は死んだのかもしれない。
 焦るべきところなのだろうが実感がわかず、気持ちは依然として不自然なほど穏やかなままだった。
 それとも、ただの夢ということもあり得る。そう思うのが一番納得できる。
 だが、あれは確かに現実に起こったことだと頭の中の何かが告げていたし、今健二が体で感じている感覚――雲の隙間から光を注いでいる太陽の暖かさや、頬を撫でていく風の涼しさ――は、夢というにはあまりにもリアリティがありすぎた。
 広げた自分の手のひらを呆然と見つめていると、背後で物音がした。コンビニやデパートの自動ドアが開く時の音をもっと小さく、そしてもっと素早く凝縮したかのような音だった。



>> To be continued.



前回書いた更新予定日を過ぎてしまってすみませんでした…!;
でもその分、少しだけですが文章量が多くなりました。なかなかキリのいいところがなくて…(笑)

次も一週間後には更新する予定です♪
健二以外のメインキャラが何人か登場します…( *´艸`)

もし読んでいただけましたら、拍手ボタンを押していただけますと大変嬉しいです(*´▽`)


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