Halloween

みらついの男キャラ(味方サイド)でハロウィン!

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原寸サイズ

「阿久津賢士に対抗して俺たちもコスプレしてみたぜ☆」じゃあまりに痛いので、
仮装じゃなくてガチのやつにしてみた。


描きながら、

闇の生き物が集まり、普通の人間がほとんどいなくなってしまった小さな村に、
かつての明るさと平和を取り戻すべく派遣されたヘタレ神父・健二――


という感じのストーリーが思い浮かびました(笑)
パラレルネタで遊べそう。

きっと、この村の闇の生き物たちをまとめているのはヴァンパイアのボスですね。すごい強そう。
狼男のジャンはそんなボスに不満があるけど、
能力を抑える首輪をつけられて無理やり従わされている…みたいな。妄想が広がりますw
レイのミイラ男と劉先輩の悪魔はむっちゃ弱いと思いますww

ここにゆかりとアマンダを加えるとしたら、ゆかりが魔女でアマンダが妖精(闇の生き物じゃないけど)かな。

…できたらもう少しこのハロウィンネタで何かやってみたい( *´艸`)


ちなみに、実はハロウィンの絵は最初、敵側のメンバーで描く予定でした。
なんとなく、雰囲気的にそっちの方が似合うような気がしてw
ハロウィンまでには(本編を)敵メンバーが全員登場するところまで進められる、と本気で思っていたのです…
ですが、実際はそんなに甘くなかったという(笑)

でも、味方メンバーのハロウィンコスも描いてみたかったから結果的には満足です(*´ω`)
来年は敵サイドのメンバーで描きますね!



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未来への追憶 第三話 - 02

「弟?」

 搾り出すように告げられたその言葉に、健二は今度こそ大きな声を上げていた。体を衝撃が走り抜ける。
 ゆかりはそれには答えず、再び顔を伏せた。辛そうな横顔に胸が痛む。
 それまでは、相変わらずゆかりの隣で不機嫌そうに下を向いていたジャンが、初めて顔を上げてゆかりを見た。その視線は他の者に向けられるときとは違い、やはりどこか優しげだ。彼女のことを心配しているのだろう。
 健二は困惑しつつ、クレイグに視線を移した。クレイグはゆっくりとうなずく。

「和泉かおるは、藤原の血の繋がった家族――実の弟だ」

 重ねて言われ、健二はもう一度和泉かおるの写真を見た。そう思って見てみると、彼の柔らかい目元は少しゆかりに似ているような気もする。
 愛する者が敵として立ちはだかるなど、とても言葉では言い表せない気持ちだろう。捕らわれて洗脳され、戦わされる家族の身の危険を想像したときの不安は、耐えがたい大きさのはずだ。アマンダもゆかりも、一刻も早く助け出したい思いでいっぱいに違いない。
 彼女たちはそんなものを抱えながら、健二に笑いかけていたのか。彼女らの大切な人間をそんな目に遭わせた張本人である、阿久津賢士の祖先である健二に。

「そんな……」

 健二は頭を強く殴られたかのように茫然としていた。深くうなだれる。部屋の照明を反射するテーブルに、自らの暗い影が落ちた。
 クレイグはそんな健二をじっと見つめていたが、少し間をおいたあと、やがて静かな声で続きを話し始めた。

「日向や和泉など、SGAに所属する人間やその関係者が狙われたのが偶然なのかどうかはわからない」

 今、会議室には重苦しい空気が立ち込めていた。静まり返った部屋にクレイグの声だけが響く。

「だが、それが、私と劉を除く捜査チームのメンバーがここで生活している理由だ。そして、アマンダ・オルコットを我々のもとで保護している理由でもある。この建物は極秘の拠点としての役割と同時に、隠れ家としての役割も持っている」

 健二は気力を振り絞り、重い頭をゆっくりと持ち上げた。

「私たちやSGAに関する情報が、この日向から漏れたんだ」再度、クレイグは日向虎太郎の写真を指し示すと、そこでわずかに眉をしかめた。「おそらく、洗脳されたあとで喋らされたんだろう」

 そして、彼は丈の長い制服のポケットから、紙のように薄い携帯機器を取り出すと健二に見せた。

「これは、私たちが仕事で使用し、持ち歩いている専用の携帯端末だ。このようにボードがついているのは、反対側から情報を見られるのを防ぐためだ」光沢のある黒の、スマートフォンなら背面部分にあたる面を指でコツコツと叩く。

「我々の身分証や阿久津賢士のデータなど、何度か君にも見せたと思う」
「はい」健二はなんとかうなずいた。
「だが、それらのデータはこの中に入っているわけではない。これはあくまで情報にアクセスし、閲覧を可能にするためだけの機器にすぎない」

 つまり、インターネットなどを通じて、どこか別の場所に保管されている情報をその都度呼び出して見ているということだろうか?

「万が一、機器を紛失したり敵に奪われたりした際に、外部の者に情報を盗まれることへの対策だ。本部のデータベースにアクセスするためには指紋と網膜の認証を行わなければならない。日向が襲われたとき、彼の生態認証の登録はすぐに無効にした……しかし、そのような策も洗脳などという手段を用いられては意味がない」

 クレイグの語尾には、ため息のような疲れた吐息が混じっていた。
 犯罪捜査部に所属していたということは、日向虎太郎はクレイグにとっては部下にあたる人間だったということだ。肉親とは比べ物にならないかもしれないが、それでもその心境は察するに余りある。上司としての責任も感じているかもしれない。

「ただ、被害者の家族全員をここで保護するわけにはいかない。だから、SGAの人間以外には一時的に海外に移住してもらったり、警察やSGAが警護をする形で対処している。アマンダはまだSGAの職員ではないが、彼女はSGAに入ることを希望していて、現在は試験のために勉強をしている最中なんだ」
「アマンダがSGAに……」

 天真爛漫で、年齢の割りに幼さも感じさせるアマンダと、犯罪に関わるような職業であるSGAのイメージとはなかなか結びつかない。

「研修や訓練などでSGAの本部に行くことも多いから、彼女だけは例外として、この拠点で生活させている」

 クレイグは何も言わなかったが、アマンダがSGAに入ることを希望した理由には、やはり強制的に悪に加担させられている姉の存在が関係しているのかもしれない、と健二は思った。

「最後に、君が見たこの男だが」クレイグはスクリーンを見ながら機器を操作すると、四枚目の写真――他と一枚だけ種類の違う、金髪の青年の写真――を示した。

「この男だけ個人情報の登録がなかった。顔を変えている可能性もあるが……東京や近隣の県の行方不明者の届出にも、この男の背格好など、顔以外の特徴に一致するものはない。現在調査中ではあるが、不法滞在の外国人ではないかと思っている」

 そのクレイグの言葉を最後に、会議室には一時沈黙がおとずれた。
 健二は静けさの中で、たった今知った新たな事実にうちのめされていた。自分が2148年にいることにも、阿久津賢士という人間と血の繋がりがあるということにも、まだ実感が湧かない。それなのに、ゆかりたちに対して漠然とした申し訳なさを感じる。落ち着かなく、奇妙な感じだった。
 しばらくして、レイがぽつりともらすように呟いた。

「この、俺の……右目」

 湖面に投げ込まれた小石が波紋を広げるかのごとく、そっと静寂が破られた。
 レイの方に目をやると、彼は黒い眼帯で覆われた自らの右目に触れていた。そのまま健二の方に顔を向ける。

「失明してんだ」

 レイは手を下ろし、そこでいったん口を閉じたが、健二は何も言わずに続きの言葉を待った。
 出会った直後こそ、レイは俳優か何かで撮影のための特殊な衣装を見につけているのではと思っていたが、彼らやSGAのことを知ってからは、彼のそれがファッションではないのだろうということはわかっていた。

「病気とかじゃなくてさ、怪我なんだよ。まあ、傷跡は結構グロいから見せらんねぇんだけどな」

 そう言って笑う。この場にも話の内容にも不釣り合いな笑みで、自嘲するような調子でもあった。無理をして作った不自然な笑いだ。

「そうだったのか……」

 健二は何と声をかけるべきかと思ったが、レイは笑みを消すと、構わず話し続けた。

「虎太郎とシンディーが連れて行かれたとき、やられたんだ。俺は一緒にいたのに、助けてやれなかった……あいつらは俺の親友だったんだ」

 そう言うと、レイはまた少し笑った。今度は寂しげな笑みだ。
 だから彼はさっき、怒りを押し殺しているような顔で日向虎太郎とシンディー・オルコットの写真を見つめていたのか。
 刑務所で阿久津賢士の行いについて話していたときも、職業上、常日頃から理不尽な犯罪には何度も接しているはずなのに、その割りには感情的な反応をしているのが気にかかっていた。その理由が今、わかった。

「阿久津賢士に連れて行かれてしまった人たちを、今すぐ救い出す方法はないんですか?」堪らなくなり、健二はクレイグに言った。「彼らが普段どこにいるのかがわかっているのなら、隙をついて気絶させたりして捕まえるとか、そういうことはできないんですか?」

 しかし、その問いに答えたのはクレイグではなかった。

「んなもんがあるんだったらとっくにやってんだよ」

 きつい声が飛んでくる。会議中、まだ一言も発していなかったジャンだ。彼は苛立ちもあらわに健二を睨みつけている。

「なんもわかってねぇくせに勝手なこと抜かしてんじゃねぇ。だいたい、てめぇのひ孫とやらのせいでこんなことになってんだろうが」

 ジャンは“てめぇのひ孫”の部分をわざとらしく強調して発音した。ジャンの無礼で攻撃的な態度も三度目ともなればいくらか慣れたが、今の彼の言葉は健二に打撃を与えた。DNA鑑定などの結果が確かならば、それはまぎれもない真実だったからだ。

「ベルティエ」

 クレイグがたしなめるように声をかけたが、ジャンは黙らなかった。

「それとも、全部演技か? 最初っから信用なんかしてねぇが、てめぇが過去からタイムスリップしてきたなんつー馬鹿げた話はやっぱりてめぇの作り話で、今のショックを受けてるみてぇなそぶりも――」
「ベルティエ、黙っていろ」

 今度は先ほどよりも大きく、厳しい声でクレイグがさえぎった。表情はいつもと変わらない冷静さを保っていたが、瞳には強い怒りが宿っている。

「話の邪魔だ」

 ジャンはようやく口をつぐんだが、次はクレイグに鋭い視線を向けた。二人はしばし睨みあう形となり、それまではどんよりと沈んでいた部屋の空気が、今は緊張で満たされている。
 クレイグは毅然としていたが、ジャンは今にも爆発しそうな怒りを必死で抑えているようだ。ギリ、と歯を噛みしめると、悔しげにクレイグから顔をそらす。
 なだめるように、ゆかりが優しくジャンの腕に触れたのが見えた。

「すまないな」クレイグは健二に向き直ると言った。

「いえ」と健二は首を横に振ったが、消え入りそうな情けない声になってしまう。

「当然だが、被害者に危害を加えることはできない。犯罪を犯していたとしても、本人の意思ではないのだからな。だが、あれだけの身体能力を備えた人間を無傷で捕らえることは口で言うほど簡単ではないんだ」
「そうですよね……」

 監視カメラが捉えた金髪の青年の銃撃戦の様子から、そのことは健二も深く実感していた。しかも、追ってまで振り切るほどだというのだ。

「洗脳された者たちは、阿久津賢士とともに彼の研究所にいるようだ。阿久津コーポレーションの本社は別にあるが、阿久津賢士は常に、住居を兼ねたその研究所にいるらしい。そこで、自分で開発したロボットを使用しながら、ほぼ一人で仕事を行っている。研究所には社員さえも入れず、数名の部下しか立ち入りを許可されていないようなのだが、数名の部下とは阿久津賢士が洗脳して仲間に引き入れた者たちのことだろう」

 クレイグは、「なぜこんなことになったのか……」とため息をついた。

「かなり前から少しずつ計画していたのだろうな。当然、阿久津賢士に気づかれずに研究所に入ることはできないから、隙をつくことは今の段階では不可能だろう」
「では、阿久津賢士の方を先に捕まえることは? そうすれば、洗脳した人たちを元に戻させたりすることもできますよね?」

 皆の視線が健二に注目しているのを感じながら、健二はたずねた。特にジャンの視線が痛い。

「さっきも言ったように、阿久津賢士は自分の研究所から一歩も出てこない。もちろん、こちらからのコンタクトにも応じない。こちらから研究所に出向いていけば、洗脳されている者たちが阿久津賢士を守ろうとするだろう」
「もっと強制的に、出頭命令を出したりとか、そういうので逮捕することはできないんですか? その、SGAや警察の権限とかで」

 思えば、阿久津賢士の仕業だとわかっているにもかかわらず、今も彼が野放しになっているというのはおかしな話だ。被害者も何人もいて、今も事件は続いているというのに。十分な証拠が無いのだろうか。

「ニュースとかでも報道してるんですよね?」
「いや、ニュースでは報道していない」
「どうしてですか!?」健二はあまりの驚きに大声を上げていた。

 クレイグは少し考えたあとで口を開いた。

「この話をすぐに君に理解してもらえるかはわからないが、これは複雑な問題なんだ」一呼吸おき、先を続ける。「阿久津コーポレーションは非常に影響力が大きい。日々の生活にも深く関わっていて、今や日本にとって無くてはならない存在なんだ」
「日本でも有数の大企業なんですよね」

 健二は未来にやってきた日、初めて阿久津賢士について聞かされたときのことを思い起こしながらうなずいた。

「もし、阿久津賢士の悪事が公になれば日本中で混乱が起こる。それも、彼の仲間には超人的な能力を有した人間までいるのだから、大変な騒ぎになるだろう。何よりもまず、それを避けたい」

 それはもっともな理由だった。洗脳された人間の存在が明らかになれば、日本どころか世界中で話題になりそうだ。
 だが、その次にクレイグが語った内容は到底賛同しかねるものだった。

「それに、今は市場のトップを独走している阿久津コーポレーションも、事件が報道されて評判が落ちれば、途端に外国の企業に追い抜かれるだろう。そうなれば日本の経済にも大きな被害が出る」
「そんな! 確かにそれはそうかもしれませんけど……実際に何人も被害者がいて、これからもっとたくさんの人に危険が及ぶかもしれないんですよね? 人の命より大切なものなんて無いでしょう!」

 ジャンの言う通り、詳しい事情も知らないのに口を挟みすぎだとは思いつつ、言わずにはいられなかった。

「私も同意見だが、政府の方針だ。無視することはできない」

 クレイグは健二の態度には嫌な顔一つせずに言い切った。本当に、彼の表情や物言いからは、彼自身の感情というものを読み取ることが難しい。
 健二とて、国にとっては経済も重要なものだということは十二分にわかっていたが、一個人の感覚ではすんなりと納得できるものではなかった。

「とにかく、阿久津コーポレーションが無くなっては困るんだ。社員によれば、製品を作るための一番重要な資料や情報などは阿久津賢士一人が管理しているようだ。阿久津コーポレーションの製品を必要としているたくさんの人々のためにも、それらを失いたくはない。さらに、阿久津コーポレーション自体が無くなれば、阿久津賢士の犯罪とは無関係の、大勢の人間が職を失うことにもなる」

 八方塞がりと思われる状況に、健二は頭痛がしてきた。

「下手に我々が動けば、捕らえられている者たちに危害を加えられる可能性もあるからな。彼らは人質でもある」
「向こうも、そういったことからSGAや警察が動きにくくなるということをわかってやっているんでしょうか?」
「ああ。おそらく」クレイグはうなずいた。「だから、できるだけ一般人には知られないままに、阿久津賢士だけを静かに逮捕したいと思っているが……今はそのための作戦を立てながら、期を待っているところだ。そこに、君が現れたというわけだ」
「……阿久津賢士の目的は何なんですか?」

 健二は以前にレイにもたずねた質問を繰り返した。

「はっきりしたことはまだわからない」

 そう言うと、クレイグは再びタブレットPCのような機械を操作し、スクリーンに表示されたままになっていた金髪の青年の写真を拡大させた。

「君は、この男の格好について違和感を感じなかったか?」
「はい。彼はなんでそんな服を……?」

 あまりにも不可解なことが多すぎて、すっかり聞きそびれていた。彼の中世風のいでたちは、133年後の未来だというこの時代とはまったく似つかわしくない。

「阿久津賢士は君が見た強盗事件のように、洗脳した者たちを使って犯罪者を殺させている。あくまで推測にすぎないが、この男の格好は人々の注意を引きつけるためではないかと思う。個性的な服装と強さでカリスマ的な印象を与え、ヒーローのように見せて人々に崇拝させるためだ」

 ヒーロー。健二はその言葉を頭の中で反芻した。
 しかし、犯罪者を殺しているだけならば、表面的な部分だけを見るとまるで本当に正義のヒーローのようではないか。一瞬、健二はそう思ったが、その考えはすぐに打ち消された。

「阿久津賢士は犯罪者を殺す一方で、自分の邪魔になる人間も殺している」
「邪魔になる人間、ですか……?」
「ああ。阿久津賢士の事業計画に反対する者たちだ。阿久津賢士は病気や怪我の治療法として、人体に多くの機械を埋め込んだりする方法を推奨し、それを広めようとしている。他には、より人間に近いアンドロイドの開発なども提案しているが、それらに反対している人間は大勢いる。そういう人間も二人、犯罪者のついでのように殺されているんだ」

 健二には、阿久津賢士が計画しているという事業内容を具体的に思い描くことはできなかったが、反対する人間がいるからには何か問題があるのだろう。

「犯罪者を殺し、ヒーローを気取る。ヒーローが倒すのは悪だ。彼らの行いが国民に知れ渡って浸透すれば、次は、“そのヒーローが殺す者は誰であろうと悪に違いない”、という思考パターンに陥らせることができる。洗脳した者に派手な格好をさせていることも、犯罪者を殺していることも、それが狙いではないかと考えている。そうすれば、堂々と邪魔者を消すことができるようになるからな」

 クレイグは淡々と話を続けた。

「当然、国民は彼ら――洗脳された者たちの姿を見ただけでは、阿久津コーポレーションとの繋がりを想像しない。阿久津賢士との繋がりは感じさせずに、阿久津賢士の思想を反映したヒーローを応援させる、という状況を作り上げることができる。そのうち、彼らの姿に刺激されて憧れ、自分も仲間になりたいなどと思う者も出てくるかもしれない」

 健二は話を聞きながら、それは十分にあり得ることだ、と思った。自分たちの活動を世に知らしめ、仲間を増やすためにそのような作戦を使う組織の話などは、健二がもといた2015年でも耳にしたことがある。特に、若く未熟な者ほどそういったものの影響を受けやすいだろう。

「阿久津賢士の目的を知ってもなお、そのときには盲目的にヒーロー像に魅入られていて、阿久津賢士に加担しようとする可能性もある。もともと阿久津賢士と同じような考えの者もいるだろう。だから、報道の規制を行うことはそういった理由からも必要なことなんだ」
「でも、あの場にはたくさんの人がいました。いくらニュースなどで報道していなくても、人伝いに噂が広まっていくんじゃないですか? ましてや、インターネットとかもあるならなおさらな気がするんですけど……」

 健二がそう言うと、今度は長い沈黙があった。レイとゆかりは上司の考えをさぐるかのように、クレイグを凝視している。健二が不思議に思って声をかけようとしたとき、クレイグは硬さを増した声で言った。

「これはSGAの機密事項の一つなんだ」

 彼の緊張が表れているのだろうか。機械のように冷たい声だ。

「君が我々以外の者と話すことは今のところ無いとは思うが、これから私が言うことも、君や阿久津賢士に関することと同様に、絶対に外部の人間には漏らさないでほしい」
「わかりました」健二も気を引き締め直す。

「SGAにはいくつかの部署が存在するが、その中に情報部というものがある。SGAの具体的な仕事内容は一般にはあまり公開されていないが、この部署は例えば、インターネット上の投稿などを削除したり改変したりして、情報を操作をするための部署だ」
「では、阿久津賢士に洗脳された人たちの目撃情報も……」
「そうだ。この情報部が削除したり、閲覧を規制したりしている。もっとも、直接人から人へと口頭で伝えられることなどについてはどうしようもないが」

 SGAがその程度の権利を持っていたとしても、今さら驚くにはあたらなかった。何せ、地下に専用のトンネルを有しているほどの機関なのだ。情報操作を行っていることを正直に告げられるというのは、健二が特殊な立場の人間だからとはいえ妙な感じではあったが。

「阿久津賢士の目的の一つは――」クレイグは語気を強め、はっきりとした声で言った。「事業を阻止しようとする人間をすべて殺害し、賛同者を増やし、自分の思い通りにプロジェクトを進めることだろう」そう締めくくる。

「その先に何を求めているのかはわからないが……今、言えることはそれだけだ」

 クレイグは最後にそう付け足し、この日のミーティングは終了となった。
 健二が会議室から出るとき、扉を出るタイミングがジャンと重なってしまった。彼は健二を押しのけるようにして先に扉を抜け、健二はわずかによろめいた。そのとき見えたジャンの左手の薬指には、ゆかりの指にはまっていたのと同じシルバーのリングが光っていた。



>> To be continued.



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阿久津健二

未来への追憶/阿久津健二

健二練習中。健二は髪型が特に難しいです(笑)
服装は基本このスーツです。

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